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歯周病は感染症の1つです。そう聞くと「歯周病の治療薬はないの?」とおっしゃる方が多くいますが、残念ながら答えは「NO」です。症状を一時的に抑える薬、つまり対症療法として使う抗生剤はありますが、歯周病を根絶する薬はないのです。
歯周病は成人の8割が患っているといわれており、日本だけでなく世界各国にも多くの患者さんがいます。数ある病気の中で患者数は1位、ギネスブックにも載っているほどです。歯周病を完全に治せる薬があったとしたら、現在のような状態にはなっていないでしょう。もし開発されれば、きっとノーベル賞を受賞するのではないでしょうか。
歯周病の薬が存在しないのには、いくつかの理由があります。それぞれについて、以下で詳しくご説明しましょう。
歯周病になる原因は、歯周病菌だけではありません。菌に対する「体の免疫力(体の反応)」も深く関係しています。しかも最近の研究では、菌自体よりも体の反応の方が大きな原因になると報告されているほどです。
つまり、菌に対して過剰反応するような「歯周病体質」の人は歯周病になりやすく、かつ悪化もしやすいということになります。これは、癌体質や高血圧体質、糖尿病体質などと同じです。
もし歯周病菌に作用する薬が開発されたとしても、この体質の問題までカバーできなければ、歯周病をなくすことはできないでしょう。
歯周病の話をするとき、私達は「歯周病菌」という単語を使いますが、その正体は完全には特定されていません。そのため、歯周病菌だけを根絶する薬を開発するということは、今の段階では不可能です。
まずは、歯周病菌の謎を解き明かすことから始めなくてはなりません。また、私たちは食べ物をはじめ、体の外からさまざまなものを口に入れます。そんな状態では、口の中の菌を根絶することは極めて難しいでしょう。
薬を飲んで菌を殺せたとしても、またすぐに発生してしまいます。
口の中に生息している菌の多くは、お互いに結びついて、「バイオフィルム」というバリアを形成しているため、薬はほとんど効きません。
バイオフィルムは、例えるならば三角コーナーのぬめりと同じで、洗剤をかけても、水で洗っても取れません。しっかりスポンジでこすらないときれいになりません。同様にバイオフィルムも歯ブラシでしっかりこすらないと取れないのです。
さらに、菌は古くなっていくと歯石という石のような状態になり、ここにさらに菌が付着します。この歯石はバイオフィルムよりもさらにやっかいで、歯ブラシだけでは取れず、歯科医院に行って刃物(スケーラー=主に歯石を取るために用いられる歯科用の器具)で除去しないといけなくなるのです。
歯石といった温床や、バリアに守られている状態では、薬で減らせたとしても一時的な処理といえます。
※バイオフィルムにも浸透するという「ジスロマック」という抗生剤がありますが、これも一時的に菌の数を減らすだけであり、しばらくすると歯周病菌は再発してしまいます。
歯周病は感染症であると先に述べましたが、同時に「生活習慣病」でもあります。現代人がかかる病気の多くは慢性病である生活習慣病であり、歯周病もその1つ。
悪い生活サイクルや食事を続けていることで体の免疫力が落ち、本来ならば抑えられる歯周病菌の暴走を止められなくなって、歯周病になるのです。そのため、薬の誕生を待つよりも、生活習慣を改善することが賢明です。
歯周病は癌などと違って直接死に繋がることはありませんが、食事という人生の楽しみを奪っていきます。さらに食べられるものが限られることで栄養が偏り、さらなる生活習慣病をも引き起こすことにもなります。
歯周病は、生活習慣病の中でも最初に患う「玄関」のような病気なのです。歯周病は「こんな生活をしていたら壊れてしまう!」という体からの危険信号と考えればそれを薬で抑えてしまってはいけないという考え方もできます。
歯周病であることがわかったら、それをきっかけに体の声にも耳を傾け、向き合ってほしい。そして、歯周病の克服をきっかけにして、全身の健康を手に入れてほしい。私はそのように考えています。
突然歯茎が腫れるなど、歯周病が急性化したときには、対症療法として薬を使用します。また、外科治療する際に、術後の感染予防としても使います。
なお、ごくまれに歯周病菌に対して非常に感受性が強い方がいらっしゃいます。そういった方には治療で薬を用いることもあります。歯周病菌に対して感受性が強すぎる場合、体がわずかな菌も許容できないため、あらゆる方法で菌を除去していく必要があるのです。
正しい歯磨きの方法を徹底的に指導し、機械的な治療も行い、それにプラスして薬を処方します。
一部のグループでは「口腔カンジダ症と歯周病は関連性がある」という見方をしていますが、結論からいうと、まったくもって科学的な根拠はありません。日本歯周病学会からもこの関係を完全に否定する見解が出されており、世界的にもこれを認める動きは一切なく、荒唐無稽な話といえます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/perio1968/42/1/42_1_S1/_pdf
医療法人 つゆくさ歯科医院
院長 小塚義夫
患者さんのお悩み、お話しを最後までしっかりと聞いて、
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