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休診日:日曜・祝日
歯周病指導医/専門医
Dr.小塚
「歯周病は、手遅れになったら治らないんですか?」
「治療しているのに治らないのはどうして?」
「歯周病が治った人はどんな人?」
患者さまからいただくさまざまなご質問に、日本歯周病学会・歯周病指導医/専門医のドクター小塚が、お答えします。
歯周病は、初期の頃はほとんど症状らしい症状がありません。
初期の頃は歯ぐきの腫れや出血という症状が出るものの痛みはないため、放置してしまいがち。
しかし放置して病状が進むとそのうちに歯ぐきが腫れる頻度が高くなったり、朝起きると口の中が臭くなったり。そして、口の中で血の味や膿の味がするようになり……徐々に症状が重くなっていきます。
恐ろしいことに、これは歯を支えている顎の骨が少しずつ溶けてきているサインです。
顎の骨が溶け始めたら「歯周炎」です。さらにこのまま放置すると、歯周炎が中度・重度と進んでいき、硬い物を食べづらくなったり、歯の揺れが気になったり、急に歯ぐきがパンパンに腫れたりしはじめます。
ここまでくると、確実に顎の骨は溶けています。鏡で口の中を覗いて、「歯が長く伸びてきた」と感じたら、間違いありません。顎の骨が溶けてくると、歯ぐきは腫れながら少しずつ位置が下がってきます。
歯が長く見えるというのは、正確には歯ぐきが減って、これまでより歯の多くの部分が見えていることが原因なのです。
これを放置してしまうと、ある日突然、物を食べている時に自然と歯が抜け落ちてしまいます。咀嚼していて、「あれ?硬い物が出てきたぞ?」と感じたら、それが自分の歯だったという状態になるのです。
歯が抜けてしまったらもう手遅れ。抜けてしまった歯を戻すことはできません。入れ歯やインプラントで抜けた部分を補うしかありません。
手遅れになる前に、歯科医院で治療を受けることが大切なのです。
手遅れの状態が、歯が抜けてしまうことだとしたら、まだ間に合うかもしれない「手遅れの一歩手前」の症状はどんなものでしょうか?それは、
このような症状です。
これは、歯ぐきが破壊され、歯槽骨(顎の骨)が溶けてボロボロになっている証拠。これ以上、歯周病が進行したら、いつ歯が抜けてしまうかわかりません。
既にこうした症状が現れている方は、すぐに歯医者さんを受診しましょう。まだ間に合うかもしれません。
さて、重症の歯周病にかかっていると、歯医者さんで「もう手遅れですね。抜くしかありません」と言われることがあります。
自然に抜けてしまったのなら諦めがつくけれど、まだ抜けていない歯を「抜歯する」と言われると「本当に手遅れなのか?」「なんとか抜かずに済まないのか?」と思う方も多いでしょう。
実はこの「手遅れ」の基準は難しく、診察をする歯科医師によっても判断が変わります。
重度の歯周炎の歯を残すには、高度な歯周病治療の技術が必要ですし、手間も時間もかかります。実は、抜歯してしまう方がよほど簡単で楽ちんなのです。
そのため、歯周病治療に熱心ではない歯科医師は、そもそも重度の歯周炎を治せる技術を持っていないケースも少なくないですし、熱心でないだけに手間がかかるのを面倒だと考えて抜歯を勧めることもあるでしょう。
もしもあなたが抜歯を避けて、できるだけ歯を残したいなら、歯周病治療に熱心に取り組む、高度な技術を持った歯科医師にかかることをお勧めします。
歯周病指導医、専門医、認定医といった、歯周病の専門的な資格を持った歯科医師がいる歯科医院だと安心です。
「人」というのは、患者さまの価値観のことです。
歯科医師の治療だけで重度の歯周炎の歯を残すことはできません。患者さまが正しい歯磨きの方法を習得し、毎日時間をかけて歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやフロスを使うことが必須になります。
タバコを吸う方は禁煙が必須になりますし、糖尿病の方は血糖値コントロールも必須です。
さらに治療期間は1年〜3年と長期に渡ります。
状態の悪い歯を残すわけですから、治療していても悪化する可能性もある中、それでも歯を残すために努力を重ねられる、という価値観を持った方なら、重度の歯周炎でもある程度は歯を残すことができます。
しかし、そんなに手間や時間をかけられない方は、早めに抜歯をした方が良いという判断になるのです。
「口」というのは、治りやすいか治りにくいかといった患者さまの体質のことです。
同じように治療をしても、とても良く治る人もいれば、なかなか効果の出ない人もいます。
この治りやすさを左右するのは、
です。これらがある患者さまは、ない患者さまよりも、同じ治療をしたときに治りにくいので、早めに抜歯した方が良い場合があります。
「歯」というのは、歯根や歯槽骨(歯を支える顎の骨)が、治療しやすい形態かどうかを指します。
治療しやすい | 治療が難しい | |
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歯根 | 1本 | 複数(2〜4本) |
歯槽骨 (顎の骨) | 溶けているのは部分的 | 全体的に溶けている |
健康な歯 | 残っている | ほとんどない |
人間の歯は、歯根が1本のものと2〜4本のものがあります。重度の歯周炎にかかっている歯の歯根は1本の方が治療が容易で、3本や4本あると治療の難易度が格段に上がります。歯根が1本の方が残せる可能性が高いのです。
歯槽骨(歯を支える顎の骨)は、骨全体がまんべんなく溶けていると、再生治療(溶けた歯槽骨を再生する治療)が難しくなります。
再生といっても溶けたものを回復できる量は限られているため、骨全体が溶けている場合は焼け石に水であまり意味をなさないのです。
一方、部分的に溶けている場合なら、再生治療が有効に働くため歯を残せる可能性が高まります。
お口全体で見たときに、健康な歯が残っているか残っていないかも重要です。重度の歯周炎にかかっている歯の周りに健康な歯があれば、周囲の歯とつなげて連結補強が可能となり、抜かずに残せる可能性が高まります。
このように、中度〜重度の歯周炎の歯を残せるかどうかは、①人、②口、③歯 の条件を見て総合的に判断しないといけません。「手遅れ」のタイミングは、患者さま一人ひとりの条件によって変わるのです。
歯茎からの出血は、小さいけれども非常に重要なサインです。「血が出るくらいよくあることだ」と見過ごさずに、速やかに歯科医院にかかりましょう。歯茎から血が出るというのは、炎症が起きている証拠。立派な歯周病、もしくは歯周病予備軍と言えます。
歯茎に違和感が出てくるのは、完全に何らかの問題が起きているサインです。血が出るよりも症状がやや進行している状況ですので、決して見逃さないでいただきたいレベルになります。
口の中のネバつきも、加齢のせいと判断してしまうのは早計です。朝起きた時に口がひどくネバネバする、苦い味、膿の味がする……そんな心当たりのある方は、一刻も早く対応しましょう。
実は、口臭も歯周病のサインの一つです。とは言っても、虫歯になっても口臭は気になりますし、胃が悪いことも原因になります。「口臭がきつい=歯周病」と一概に言うことはできませんが一つの判断材料として、歯医者にご相談いただければ安心だと思います。
この他にも、
…などといった状態になっているなら、歯周病がかなり進行している証拠です。これらの症状が見られる方は、ぜひお早めに歯科医院に足を運んでください。
歯周病治療において何よりも大切なのは、「どれだけ早く症状に気づけるか」ということでしょう。一番安全なのは、自覚症状がなくても、点検に歯科医院に通う習慣をつけておくことです。
一生付き合っていくかけがえのない自分のお口。今日この瞬間から、その変化に意識的になってもらえればと思います。
歯周病の原因は、お口の中に生息している歯周病菌です。歯周病を治すためには、歯周病菌を十分に減らさなければなりません。
歯周病菌は、歯についている歯石やプラークの中に潜んでいますから、歯石やプラークを除去して歯周病菌を減らすことが歯周病治療のメインとなります。
歯石の取り残しがあったり、ご自宅での歯磨きが不十分だと、歯周病菌がなかなか減らないため、治療に通っているのに治らない…ということがあるのです。
歯磨きはしっかりできているはずなのに治らない…という方は、一度、歯周病専門医がいる歯科医院に相談してみると良いでしょう。歯周病専門医は、学会に歯周病治療の技術を認められたプロフェッショナル。なぜ治らないのか、原因を突き止めることができます。
歯周病には生活習慣が大きく影響しています。歯周病を進行させたり、治りにくくするような生活を続けていると、歯医者さんで治療をしていてもなかなか治りません。
などは、歯周病を悪化させる原因になります。特にタバコを吸う習慣のある方は、すぐにやめることをおすすめします。タバコを吸っているうちは、歯周病が治りにくいためです。
歯周病によって歯を支えている顎の骨が溶けてしまうことは、既にお話しました。この顎の骨は噛む力を支えている骨でもあるため、歯周病にかかっている状態で、顎の骨に負担がかかるとどうなるか?
ただでさえ溶けて弱っている顎の骨にさらなる負担がかかるので、骨が溶けるのを助長し、歯周病がより一層、悪化します。
歯石やプラークを除去する歯周病治療と併せて、噛み合わせの治療も行わないと、なかなか治らないという結果になることがあるのです。
歯周病がなかなか治らない人がいる一方で、歯医者さんで治療を受けて治った人もいます。
歯周病が治った人は、いったいどんな人なのでしょうか。
先ほどのなかなか治らない場合の逆ですね。
歯医者さんで歯石を取り残すことなく取ってもらい、ご自宅での歯磨きでもプラークを除去でき、タバコを吸わず、噛み合わせの状態も良好。そんな方なら、歯周病は治すことができるのです。
まずは、見た目の問題です。歯がない姿を人に見られるのは、男女を問わず嫌なものですよね。歯を失うことが原因で人と話せなくなる、笑顔が少なくなるというのは、非常によく聞く話です。
外に出るのが億劫になりますし、人と接する仕事であれば、働く気力も消え失せます。ひきこもりがちになってしまい、心を病んでしまうことも十分に考えられます。
私たちが生きていく上で欠かせない食事でも、歯を使います。歯がなくなると、まず硬い物が食べられなくなります。私たちの普段の食事についてよくよく考えてみると、硬い物がほとんどです。肉も野菜も、しっかりと力をかけないと噛み切れません。
よく噛めない事で、たんぱく質・ビタミン・ミネラル・食物繊維といった、体に必要な栄養素を摂れなくなってきます。そして、柔らかいお米などの炭水化物ばかりを摂るようになり、肥満に繋がります。
また、満腹中枢(まんぷくちゅうすう:食べ物を摂取した際に、満腹を感じるための脳の器官のこと)はよく噛んで食べることで刺激されるので、歯がなくて噛めないといつまでも満腹感を覚えなくなります。
これも、肥満を引き起こす原因の一つです。肥満は、糖尿病や骨粗しょう症をはじめとした成人病にも繋がります。歯を失うことは、全身の健康状態に悪影響を及ぼすのです。
噛むという行為は、脳にも良い刺激を与えます。しっかり噛めない方(合わない入れ歯をお使いの場合も同様です)は、非常に認知症になりやすいというデータも出ています。よく噛んで食べることは、脳の機能維持にもとても大切なポイントになるのです。
また、脳を刺激しないことは、体の姿勢やバランスをも悪化させます。平衡感覚なども失われ、転倒する危険性が増加。特に高齢の方は、骨も脆くなっているので骨折しやすい状態になっています。ちょっとつまずいて転んだことが、思わぬ大事故に繋がることもあるでしょう。
現代の日本では寿命が長くなってきていますが、課題になっているのが「健康寿命」を延ばすことです。健康に楽しく長生きするためには、自分の歯を残す努力が必要不可欠と言えます。
歯は、喋るためにも欠かせません。歯がなくなると発音しづらくなったり、呂律が回らなくなったりと、会話において困ることが非常に多くなります。
「入れ歯を入れたら治るのでは」とおっしゃる方もいますが、口の中に大きい物が入ることで確実に発音しにくくなりますし、入れ歯に慣れるには長い時間がかかります。
歯がなくなると、こんなにもたくさんのデメリットが生じます。家で例えるならば、歯は玄関のようなもの。さまざまな場面において、入口になってくれます。
見た目の入口、食べ物の入口、病気の入口、コミュニケーションの入口……福を招き入れられるよう、入口はいつでも万全の状態に保っておきたいものです。
Dr.小塚
医療法人 つゆくさ歯科医院
院長 小塚義夫
患者さんのお悩み、お話しを最後までしっかりと聞いて、
患者さんが本当に望む治療を提供できる歯科医院を目指しております。
名古屋市緑区の歯医者・つゆくさ歯科医院へどうぞ安心して何なりとご相談いただければと思います。